「歌ってみた」動画のためにセルフミックスを始めた歌い手さん、MIX師さんなど初心者DTMerの方々がぶつかる大きな壁の一つが「ボーカルが華やかにならない」ことだと思います。
音量を上げると、他のトラックに比べて浮いてしまい、音量を下げると埋もれてしまう....。適切な音量にしたいだけなのに、なぜこんなに上手くいかないのか....。プロの音と聴き比べると、プロのエンジニアはどんな手法でミックスしているのかますます不思議になりますよね。
しかし、実は「音を汚すこと」を覚えるだけで、あなたのミックスは大きくステップアップするかもしれません!
「でもプロの音は汚い音に聞こえないけど...?」「音質が下がるようなことは避けたい」
そんな不安があるかと思います。「音を汚す」と聞くと身構えてしまいますが、実は昔から今日に至るまで、ポップスのほとんどのボーカル、またそれ以外の音も意図的に汚されているのです!
そんな「音を汚す」とは、どういうことでしょう?
「音を汚す」と聞いた時点でピンと来るかもしれませんが、「歪ませる」ということです。ディストーションやオーバードライブのエフェクトを使うとバリバリと歪んだ音になりますよね。
しかし、今回ボーカルミックスのテクニックとしてお伝えする「汚す」はまた少し違います。
アナログ機材に音を入力する際に入力音量を上げていくと、少しずつうっすらと歪みが増していきます。(この歪みは「サチュレーション」と呼ばれたりします)
この時の音が「音量の大きさ」だけではなく、「華やかさ」や「前に出た感じ」を感じさせるのです!ボーカルがオケに混ざった上に、歪みもわずかであれば、不快な音には感じられないことがほとんどです。
それでは、今回は僕の一推し「サチュレーション」エフェクトプラグインをご紹介します!
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「DRIVE」のつまみで歪みの量を調節できます。わずかな歪みを与える「サチュレーション」プラグインとして人気ですが、バリッバリに歪ませることもできてしまいますよ!
「DRIVE」を0から少し上げていくだけで、グッと音が押し出されていきます。
ここで、「DRIVE」のつまみを回した時に「OUTPUT」が自動で下がるようになっているので、最終的な音量はエフェクトをかける前と同じくらいに調整してくれています!
もしも、音量が上がりっぱなしでいいと感じた場合は、「AUTO」のスイッチをクリックして自動音量調整をOFFにしましょう。
歪ませた結果、音のキャラクターが変わってしまうのが気になる場合があると思います。
そんな時は「LOW CUT」「HIGH CUT」でEQ調整を行いましょう!「THUMP」はカットしすぎた低音をほどよく補ってくれますし、「STEEP」はハイカットにレゾナンスを付けてくれます。オケに合わせて「TONE」で音の明るさを調整するのも効果的ですよ!
また、A,E,N,T,Pのスイッチを切り替えるとアナログ機材のモデルを選択できます。これは音を聴きながら好みのモデルを選んでみてください!
「DRIVE」を調節するだけでは、大げさな歪み方をするか、もしくはほとんど効果が感じられないかで、ちょうどいい汚れ具合にできない....
そんな時は元の音とエフェクト音の割合を調節しましょう!
これは「Decapitator 5」に限ったお話ではないですが、どうしても「DRY:WET=0 : 100」の設定では大げさなエフェクトになってしまうことが多いですよね。
ちょうどいい設定が見つからない時は、気持ち多めに「DRIVE」をかけて、「MIX」のつまみを「DRY」に寄せてみるのもおすすめです!
いかがでしたでしょうか?
今回は、華やかなボーカルミックスをする方法の一例として、「サチュレーションを使った音の汚し方」を紹介しました。
ボーカルミックスの秘訣は他にもたくさんあると思いますが、少しだけ音を汚すことを覚えたら、あなたのミックスは大きくステップアップするかもしれませんね!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!