数多くのヒット曲で耳にする事のできるEventide H3000の名作プリセット「Crystal
Echoes」の意思を引き継いで、原音からは想像もできない音を生み出すエフェクトを生み出すプラグイン。それがCrystallizerです。
Crystallizerのグラニュラー・リバース・エコー・スライスや、レトロなピッチ・プロセシング能力を使えば、過激で美しい音響処理を生み出すことができます。アコースティック・ギターに厚みのあるデチューン・エコーやサイケなピッチシフト処理を施したリバース・エコーをかけて、シンセのようなテクスチャーを生み出したり、セッションのBPMにシンクした状態で原音を細切れにしてピッチを変化させつつ、リバースとゲート処理を行うなど、Crystallizerを使えば、幅広い種類の音響効果を得ることができるでしょう。
Crystallizerの中核に位置するのが、2台のリバース・エコー・プロセッサーです。このかわいいエフェクト君は、オーディオ素材を指定した範囲でつかんで、それを逆に再生させます。奇妙で、トリップ感覚にあふれたエフェクトですが、慣れると楽しい生き物です。
オーディオ・スライスの単位は、数ミリ秒から数秒まで選択可能です。超短いスライスを使って原音をグチャグチャにする。長めのスライスをつかってジミヘンっぽいサイケなエフェクトを得る。変態と呼ばれることを恐れないなら、各チャンネルに3オクターブまで上げられるピッチチェンジもかけてみてください。スライスの単位をセッションのビートにシンクすることもできるので、どんなに過激な処理を行ってもグルーブ感を台無しにすることはありません。
Crystallizerのリバース・スイッチを切り替えると、リバース・エコーと、古典的なピッチ・シフトを切り替えることができます。最近のピッチ・シフターでは、原音のキャラクターを保持したまま自然なピッチシフトを行えるような工夫がなされています(私たちのPurePitchやSpeedが、その例です)が、昔のピッチ・シフター(Eventide伝説の名機「H910
Harmonizer」など)では、リサンプルや、クロスフェード処理を繰り返すことによる不自然な副作用が、避けられませんでした。
でも、世の中には「物好き」な人がいるもので、そんな「副作用」がたまらなく好き、という人もいるようです。あなたがその一人なら、Crystallizerのピッチ・シフターにはグッとくることでしょう。あなたが真面目なタイプでも、微妙なデチューン、ダブリングといったハーモナイザーの古典的な使い方には、Crystallizerの味がしっくりくることに驚かれるかもしれません。