日頃から作曲をする方もそうでない方も、「曲を作る」と言ったらどのようなワークフローを思い浮かべますか?
現代ではDAWが広く普及していますが、DAWを使った作曲の中でもサンプルを組み合わせるのがメインだったり、全てMIDIで打ち込んだり、人によって様々だと思います。
そして、「曲を作る」の定義はそれだけに留まらず、譜面上にスコアを書いていったり、ギターを抱え歌いながら作ったり、様々なツールとワークフローが考えられますよね。
そこで、今回は新たな楽器&作曲ツールとして「OP-1 field」をご紹介します。
OP-1 field は一言で言えば、「超多機能ハードウェアシンセ」です。鍵盤、いくつものシンセエンジンとドラムエンジン、エフェクト、複数トラックの録音&再生機能、シーケンサーを使ったループやパターンの機能などが搭載されていて、音作りから演奏、4トラックの録音まで行うことができるので、楽曲制作の全工程をカバーできるのです!
2022年に発売されたばかりの OP-1 field ですが、その前身のモデルとなっているのが OP-1 です。
OP-1 は2011年に発売されましたが、その万能性はもちろんのこと、ハードウェアなのにアップデートを続けたことが今でもファンに愛される理由の一つなんだとか。
今回は、僕も会社からOP-1のプロトタイプを借りて、OP-1はこんな使い方ができるという例をご紹介します!
まずは、僕なりにOP-1を使って作ってみたフレーズをお聞きください
それでは、OP-1を使ってどのような工程でこのフレーズが完成したのか、簡単にご紹介いたします。
1.リズムを打ち込む
僕はクリックよりもリズムがあるとオケを重ねやすいタイプなので、まずはリズムを打ち込みます。
テンポの設定をして、ドラムモードでドラムキットを選び、それぞれの音(キック、スネアなど)の音の長さや高さをアレンジします。今回ドラムにはエフェクトはかけていませんが、ドラム全体にエフェクトをかけることができますよ!
音作りができたら、録音をしていきます。
OP-1はテープレコーダーのシミュレーターが内蔵されており、テープモードではまさにテープで録音&再生をするような仕組みになっています。
僕は日頃から鍵盤でフィンガードラムをするタイプなので手でリズムを刻みましたが、シーケンサーのパターンモードを使ってリズムを打ち込むこともできるので、やり方は人それぞれですね!
2.ベースを弾く
ベースに限らず音階のあるサウンドはシンセモードで幅広く音作り&演奏することができます。
こんなにも小さい鍵盤ですが、しっかりトランスポーズができるため、ベースの音域も余裕でカバーできてしまいます。
ここではシンセエンジンを選び、それぞれのシンセエンジン特有のパラメータをいじります。直感的に触るようなものも多いため、実際につまみを回しながら「こんな音になるんだ」と遊びながら作る感じです。そして必要に応じてエンベロープ、エフェクトもいじりながら音作りを完成させます。
3.メロディを弾く
土台ができたので、次はシンセリードのメロディを入れてみようと思います。
今回、シンセリードには「CWO」というエフェクトをかけてみます。これは、フリーケンシーシフト・ディレイのエフェクトで、ピッチが揺らぎながらディレイの効果も得られるというものです。
4.トラックが揃ったらミックス
最後の飾り付けに16分音符で優しく刻むオブリガート(カウンターメロディ)を弾き、ここまでで重ねた4トラックをMIXモードでミックスしていきます。
MIXモードでは全体にエフェクトをかけることもできます。使用できるエフェクトの中にはリミッターもあるので、OP-1の中だけで曲の音圧を出すところまで仕上げられますよ!
ここまででご紹介したような工程でこちらのフレーズを作ることができました!
ここまででご紹介したのは OP-1 でできることの一例でした。それでは、OP-1 field はどんな進化を遂げたのでしょうか?たくさんある進化のうち、いくつかをピックアップしてご紹介いたします。
OP-1の大きな特徴であるテープレコーディング。
OP-1 では1種類だったテープですが、OP-1 fieldでは以下の4種類からお好きなテープを選択できます!
・スタジオ4トラック
・ヴィンテージ4トラック
・ポータ
・ディスクミニ
それぞれ音の質感が変わるので、曲のイメージやフレーズによって使い分けができます。どんなフレーズだってモダンにもレトロにも変化しそうですね!
そして、新しく追加されたシンセエンジン「Dimension」は独特な位相を生成して音源とする、まさにステレオサウンドの OP-1 field ならではのシンセエンジンなのです。
また、リバーブエフェクト「Mother」はその名の通り母なる宇宙に包み込まれるかのような深みのあるサウンドが特徴的です。神秘的なサウンドデザインができるにも関わらず、操作するパラメータは「リバーブの深さ」と「Dry/WetのMIX」だけなので、簡単に使用できます。
外部のスピーカーにアウトプットした際の音質も向上していますが、内蔵スピーカーの音質も良くなり、細かい調整を抜きにしたら内蔵スピーカーで音作りもできてしまうほどです。
また、液晶画面の解像度も上がったことで、よりハイエンドなOP-1体験が楽しめます。綺麗な画面なら長時間のめり込んでも疲れなさそうですね。
今回は「OP-1ってどんなことができるの?」という問いに答えられるよう、OP-1とOP-1 fieldについてご紹介しました。
みなさんにとって、「OP-1 field」という作曲やトラックメイクの選択肢が増えたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!